1. はじめに
警察庁発表1)によると平成24年に自殺者が2.78万人となり、それまで10年間連続で3万人を超えていた自殺者数がわずかに減少した。一方で日本における精神疾患患者の現状として、精神疾患の患者数は平成17年で300万人を超え、さらに平成23年には約320万人になった2)と発表されている。また、2002年から2003年の間に全国の中から11地域、20歳以上の住民を対象に行われた調査では、過去12か月間に何らかの気分、不安、物質使用障害を経験した人が8.8%、うつ病を経験した人は2.9%で、うつ病に関して専門医に相談をしていない人は66%もいること2)が発表されている。また、我が国日本での自殺者の約60%はうつ病とも発表されており3)、現在日本において自殺者数および精神疾患の患者数の増大は大きな社会問題となっている。
筆者は今まで18年間霊能師として活動し、うつ病などの症状を訴える多くの方の相談に乗って改善へと導いた経験がある。活動を続けていく中で、心霊界の悪影響である霊障は精神疾患に影響しており、霊障に対して適切に対処することで精神疾患の改善に導くことができるという仮説を持つに至った。本論文では、依頼者から掲載許可を得た事例の中から2つを紹介し、上記仮説についての考察を述べたい。
2. 本論文の背景と目的
筆者自身、霊能師として活動する以前に精神的に不安定な時期があり、人生において生きづらさを抱えていた。自身が幸せな人生を送るために、精神的に安定して幸せを感じられる方法を模索する上で、心霊界が精神に影響を及ぼす法則性をつかむことができるようになった。
その法則性について自身でテストを行い、実際に精神的に安定することを経験した。また、その法則性が他人についても応用できることを経験した。これらの経験から、心霊界(目に見えない世界)の悪影響である霊障が原因となり、精神疾患という症状となっている場合があるということを、現代の人々に理解していただくことを目的として本論文を発表する。
3. 研究方法
相談者の状態を改善するために、霊術(霊視・除霊・祈願)を行った。またその前後での相談者の状態の変化を明確にするために、1例では相談者自身に記録として残してもらった。またもう1例については、電子メールでのやり取りとして記録を残している。なお、これらの記録については「6.添付資料」において詳細を公開している。
霊術を実施するにあたり、家系の状態、神棚や仏壇の祭り方、その他家屋や土地の状態といった現状調査を実施している。これは各家系によってその後の霊術で対処すべき内容が変わってくるためである。霊術の方法や詳細については完全には開示できないが、霊術の実施前後の経過を記述することにより、結果として症状が変化していくことを示したい。
4. 本論
4.1.1. 筆者への相談前の状況
依頼者は神奈川県在住の女性であり、依頼者の祖父が亡くなった後の2007年11月頃からひどく落ち込むようになり、精神科を受診したところうつ病と診断されている。そこから医師に処方された精神病薬を服用することになった。約1年後、担当医が病気のため依頼者は転院している。転院先では双極性うつⅡ型障害の可能性を指摘されている。
精神科への通院とともに精神病薬の服用を続けていたが、一向に症状の改善は見られず、むしろ悪化の一途を辿っている。人との付き合いを避け始め、怒りっぽくなったり、自殺を考え始めたりするなど、精神的な不安定さが増している。依頼者は精神病以外を疑い、MRI診断を受けてもいるが、特に異常はないとの診断を受けている。なお、筆者への初回相談までの約7年間、一時的な中断はあったものの精神病薬の服用を行っていた。
4.1.2. 相談および対応の開始
筆者への初回相談は2014年12月24日である。父親が早くに他界していることや、兄が引きこもりであったことから、依頼者の症状は霊障が原因である可能性が高いと予想した。詳細を調べるため、依頼者より写真を郵送で受け取り、2015年1月上旬に遠隔での霊視を実施した。その結果、家系から来ている霊障があることが判明した。霊障の内容は、左右の側頭部に未成仏霊が憑いており、その未成仏霊は先祖に関連していた。また、依頼者の両親の写真を霊視して本人の写真と比べた結果、父方と母方の両方の先祖の影響があることがわかった。
これまでの経験から、頭部についている霊の影響により、精神的に不安定になったり思考力が低下したりしているのではないかと仮説を立てた。対処方法として、必要な先祖に関しては未成仏の状態であったため、滞りなく供養されるように手配し、不必要な先祖に関しては遠隔での除霊を行うこととした。
4.1.3. 遠隔対応と症状の経過
2015年1月上旬に依頼者宅へ出張し、仏壇などの調査を実施した。調査結果を基に、依頼者の家系に合う祭り方や供養の方法を伝え、実行するようにしてもらった。その後、筆者は遠隔での除霊と祈願を開始している。なお依頼者はこの段階で、精神病薬への不安感からすべての服用を止めている。服用を止めてから副作用はあったものの、依頼者は1週間後には症状が良くなり、治ったと感じる程すっきりした気分になったと報告している。
翌月2015年2月に依頼者が医師の診察を受けたところ、「すごく調子が良さそう」であるとの診断を受けている。筆者はこの後も依頼者より1ヶ月毎に依頼を受けて、遠隔で除霊と祈願の実施を継続した。同年7月には神宮参拝旅行に行くことができるまでに回復し、同年9月には通院を1ヶ月おきに減らして良いとの指示を医師より受けている。さらに同年11月にはこれまで複数処方されていた精神病薬が1種類にまで減薬となり、最終的には2016年2月13日を以って通院終了となった。なお、2015年1月に服用を止めて以来、医師からの処方自体は続いていたものの、依頼者は精神病薬の服用をしていない。また服用をしていないことを医師に伝えていない。
4.2.1. 筆者への相談前の状況
3姉妹を持つ母親からの相談である。
長女(19歳)は小学生の頃から、パニック障害、適応障害、うつ病を発症し、現在引きこもりの状態。 次女(16歳、特別支援学校高等部2年)は8歳の頃に軽度発達障害(経度の知的障害)と診断され、数年前に強迫性障害と診断され、現在引きこもりの状態。 3女(14歳、中学3年特別支援学級)は11歳の頃に軽度発達障害(広汎性発達障害)と診断された。14歳になったころから摂食障害(拒食症)になり、身長148㎝、体重32キロで点滴治療を受けるなどした。現在引きこもりの状態。
父親もうつ病で長期休職をしたことがある。現在は復帰している。
4.2.2 相談および対応の開始
2013年6月15日に相談メールが届いた。
3姉妹の症状の他に夫婦の家系に起こっている状況は次の通りである。
義父は2013年3月4日に前立腺がんで他界。
実父は相談者が6歳の頃事故で他界。
実父の兄夫婦も他界。
一族疎遠になりがち。
また、3女の摂食障害は精神科の医師も原因不明のため、お手上げ状態で手の出しようもないとのことだった。 これらを踏まえ、心霊界からの悪影響(霊障)の可能性は極めて高いと判断し、詳しく調べるために必要写真を郵送で受け取り2013年6月下旬に霊視を実施した。その結果3姉妹とも頭部に未成仏霊が憑いており、その未成仏霊は先祖に関連していた。また両親の写真と見比べた結果、両家の未成仏霊が憑いているのを確認した。
今までの経験上、それらの未成仏霊の影響により、3姉妹に起こっているそれぞれの症状になっていると仮説を立てた。対処方法として、夫の母親は健在であり、仏壇も管理しているようであったため、この夫婦に関しては未成仏霊の供養は必要性ないと判断し、未成仏霊は本来いるべき仏壇に帰ってもらうための除霊を開始した。
4.2.3 遠隔対応と症状の経過
2013年7月上旬霊障の原因究明のために相談者の自宅を訪問した。
もっとも悪い霊気を発していたのが、扉を閉じたままの仏壇であった。この仏壇は身内の勧めで宗教に参加していたこともあり保持しているが、現在は宗教活動もしていないために、扉も閉めた状態のまま放置してあるとのことだった。
あくまでも宗教活動のための仏壇であり、先祖供養のためのものではないため、処分方法として丁重に宗教の本部に返却することを選んだ。また3姉妹をこれから遠隔で除霊するに当たりより良い効果を出すために神棚の設置をしてもらった。祀った神様は近くにあった宮崎神宮を選んだ。その後、遠隔での除霊を開始した。
2013年11月1日のメールでは、長女は原付バイクの免許取得のために免許センターにいる。次女は3泊4日の修学旅行に参加した。3女は食事も摂れるようになり、高校へ進学希望しているとの内容であった。
2014年3月6日のメールでは、長女は20歳になり、精神疾患の内容は書いて無く、次女は強迫性障害も改善してきていて手洗いの回数が減り、下水道代が1万円も減った。3女は摂食障害も改善して来ているようで、当初うどんを数口しか食べられず水すら飲めなかったのが、ハンバーガー1個や清涼飲料水やおやつなどを食べられるようになった。
2014年6月23日のメールでは、引きこもっていた長女や次女がアルバイトを始めた。 3女は一人でお買い物や外食などできるようになった。3人とも自立し始めたと喜びの報告であった。
5 結論と考察
①の神奈川県のSさんは現在薬の服用もなくうつ病の症状も出ていない。
また、妻として母親としての役割を明るく笑顔で果しながら、家族への感謝ができ幸せを感じ生活ができるようになっている。
②の福岡県のOさんは、2015年9月に電話で話したところ、3人とも精神疾患の症状は無く安定している。長女と次女は、文句を言いながらでも1日も休まずアルバイトに精を出している。一番心配であった3女は食事も一人前分食べられるようになり体重も増えてきた様子とこのと。またアルバイトを始め、自立し始めたと報告があった。
今回上記のような二人のデータをもとにしているが、他にも過去の精神疾患での相談者に関しては全て頭部に憑いた未成仏霊による霊障があった。
ただし疾患を改善するために頭部に憑いた未成仏霊の原因を探ってみると、Sさんは両親の家系からの未成仏霊ではあるが、それぞれの家系で供養が正しくなされていなかったのが原因であり、Oさんは宗教が絡み仏壇を介して未成仏霊を引き寄せたのが原因であり、それぞれ違っていた。
またその他に、今までの経験上霊障の原因は、神棚であったり庭にあるお地蔵様であったりと一軒一軒家庭ごとに違いがある。 今回は2件の事例ではあるが、相談を受け霊障の対処をしてから精神疾患の症状が改善に向かったのは事実であり、もし相談が無ければ今でも対処方法が見つからず、同じような症状が続いていたか悪化していたと考えられる。 霊障を改善するために行ったことは、遠隔での除霊や祈願を中心としており、どの相談者についても、それぞれの家系の霊界が良くなるよう、先祖供養の仕方を家系の状況に合わせ適切に対処をしたものである。
能力者でなければ見えない世界であるために完全な証明は難しいが、今回のように霊障への対処を実施した前後の相談者の状態の比較事例を蓄積するという地道な活動を重ねていくことで、精神疾患に対する心霊界の影響について間接的な証明をしていくことができると考えている。