現代社会では、不妊に悩む夫婦は年々増加の傾向にあります。2000年ごろは10組に1組程度でしたが、今では7組に1組の夫婦が不妊に悩んでいるのです。その背景には婚姻年齢の上昇にともなって、出産年齢が上がっていることが考えられます。数年前から言われているように残念ながら卵子は確実に老化します。正確には卵子を作る卵巣が老化すると言ったほうがよいのかもしれません。20代のころには卵巣にはたっぷりと卵子が詰まっていますが、40代になるとその数はかなり減ってしまうのです。他の臓器と同じように卵巣が老化することでその中の卵子も老化するというわけです。けれども、毎月きちんと生理があれば排卵が行われている証拠であるため、卵子の老化を自覚する女性はほとんどいないというわけです。そして、それが不妊の増加をさらに加速させているといえるでしょう。では、考えられる不妊の原因を詳しくご説明しましょう。
■卵子と精子が出会えない
ただ、単にタイミングの問題というケースもりますが、多くの場合、生理があっても無排卵だったり、精子に問題があったり、何らかの要因が卵子と精子の出会いを阻害している状態です。
■受精卵の着床障害
せっかく生まれた受精卵が子宮の内膜に着床できない状態です。ただし、現代の医学では着床自体が十分解明されていないことから、着床障害に有効な治療法がないというのが現状です。
■卵子のエイジング
婚姻年齢が上がったことで出産時の卵子が老化していることが考えられます。そして、多くの女性がその事実をきちんと理解していないことが問題です。
■妊娠を阻害する3つの病気
・クラミジア感染症年々増加の一途をたどっているクラミジア感染症は、「クラミジア・トラコマチス」という病原体に感染することで発症する性行為感染症の1つです。この病気にかかると、卵管が炎症を起こし、卵管狭窄や卵管閉塞を招くことも少なくありません。そうなれば、通常の性行為だけではなく、人工授精をしても妊娠の可能性がなくなってしまうのです。クラミジア感染症のやっかいなところは、感染してもほとんど自覚症状がないことです。そのため、いつの間にか進行し、卵管障害を引き起こしてしまいます。もちろん、治療は可能ですが、何よりも大切なのは予防すること。クラミジア感染症は性行為の際、コンドームを付けることで感染を防ぐことができます。また、感染がわかった時には抗生物質による治療が行われますが、その際には必ずパートナーも一緒に治療することが大切です。自分だけが治ってもパートナーが感染していれば、お互いからの感染を繰り返す「ピンポン感染」になりかねません。
・子宮内膜症
実は不妊に悩む女性の約1/3は子宮内膜症だといわれています。それだけ、不妊と深い関わりがある病気だといえるでしょう。これは、本来なら子宮の内側に発達するべき子宮内膜が卵管や腹膜、子宮筋層内などのほかの部位で増殖する病気です。正常に子宮の内側で発達した内膜は妊娠しなければ不要となり身体の外に排出されます。これが生理です。けれども、他の部位で発達した内膜は出口がないため、その場で増殖を続け、さまざまな悪影響を及ぼすのです。たとえば、卵管なら卵管閉塞、腹膜なら周辺臓器との癒着などが考えられます。この病気の一番の治療は妊娠することだといわれています。妊娠しにくいのに妊娠が治療法というのはおかしな話ですが、妊娠することで生理が止まるので、症状が軽くなるというわけです。・子宮筋腫子宮筋腫そのものは、全く珍しいものではなく、大きさの差や数にも差がありますが、成人女性の4人に1人に見られます。良性の腫瘍なので悪さはしませんが、その大きさとできる場所によっては妊娠を妨害することもあります。大きさとしては、にぎりこぶし大まで成長したものは、妊娠はもちろん、胎児の発育にも影響を及ぼします。また、できる部位は、子宮の筋肉の中にできる「筋層内筋腫」、子宮の外側にできる「しょう膜下筋腫」、子宮の内側にできる「粘膜下筋腫」がありますが、妊娠に大きく影響するのは「粘膜下筋腫」です。本来なら受精卵が着床すべきところにできているのですから当然です。
■連綿と続く家系。その流れを壊すのは先祖と祖先の関係かもしれない
このように不妊の原因はさまざまですが、本当にこれだけなのでしょうか。中には家系の因縁が影響を及ぼし、不妊を招いている場合も少なくありません。この因縁の影響を受けるとその家系は子孫が途絶える方向に向かってしまうのです。もし貴方の不妊の原因が因縁の場合は、不妊治療だけではかなり難しいのです。